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眼鏡をかけても目のいい人と同じ見え方じゃないことを知っていますか?

眼科を長いことやっていると、患者さんからよく眼鏡について質問をされます。眼鏡をかけつづけていいのか?それとも外しても問題ないか?など。今回は目の調整力について記事を書いてみます。後半は眼鏡を1日中かけていていいのか悪いのかの疑問についても指南します。

目の良い人は調節力も良い

近視の多くの人はよく見えるための矯正具つまり眼鏡やコンタクトレンズを使用しています。そして矯正具をつければ裸眼でよく見える人たちと同じではないかと思っているようです。実はそこに大きな落とし穴があります。

目の良い子供は月の表面の凸凹もよく見えますし、手の指先の指紋もよく見えます。それは目の調節力のなす技です。目の中の水晶体(レンズ)はぷにょぷにょで弾力性に富んでいるからです。

眼科的にいうと14ジオプターの屈折力があるということです。ー14ジオプターの近視というと強度近視ですが世間にもあまり多くはいません。焦点の合う距離は目の前7.1センチです。眼鏡を外せば目の前の人の顔もはっきりしません。目の良い子が思い切り近くを見た状態から戻らなくなった状態がー14ジオプターの近視です。

MEMO
コンタクトレンズのケースに「-2.50」といった数値が書かれているのを見たことはありませんか。眼鏡を作るときにも店員が持っている紙にも「右-2.50」とか書かれているのを見たことがあるかもしれません。これは、近視度数を表わす「ジオプター」です。

ジオプター(ディオプター)とは、眼科において、近視、遠視、乱視の度数を表す単位のことで、「D」や「Diopter」といった記号で表わします。視力が物を見る眼の力を表わしますが、ジオプターは「眼の屈折力」を表わす単位です。

ジオプターの値が±0の状態が一番正常の目の状態と言えます。遠視の度数はプラス(+)、近視の度数はマイナス(-)でそれぞれ表記され、数値が大きいほど遠視や近視の度合いが高くなります。

子供でも調節力が低下している

眼科に近視の子供が受診するとサイプレジン(屈折能検査点眼薬)を点眼し調節力を取り除いて検査しますがそれでマイナスの屈折が測定されると、この子は真性の近視ですから治りませんと言われます。成長期にあるお子さんたちは悪くもなりやすいですが元に戻る力も備わっていますので、近視と決めつけない方がよろしいのではと思います。

この検査によって近視度が改善すれば仮性近視ですね、と言われピント調節点眼剤を処方されることが多いです。しかし目の使い方とか姿勢を正しなさいと言われる事は少ないようです。

では実際に近視になった子供の調節力は具体的にはどのようなことでしょうか。ー1ジオプターの軽い近視の場合、遠方の焦点距離は1メートルです。1メートルより先はだんだんぼやけて5メートルの視力は1.0を切るようになります。近くは計算上は6.7センチまで見えると思いますが実際には調節力は低下しています。

なぜかというと、ほんべ眼科では2001年からナイトコンタクトを治療に取り入れていますが、小学生にナイトコンタクトをしてもらったら1週間後に親御さんが、この子、遠くはよく見えるようになったと言うのですが、近くが見にくそうで老眼の時のような仕草をするんです、と言います。

強制的に角膜のカーブを平たくしたために視力は良くなったのです。

しかし調節力が戻ってないために老眼みたいになってしまいます。しかし子供は回復力が早いので一週間もすると遠くも近くも良く見えるようになります。

子供の調節力低下の多くは見逃されている

老眼のような症状とは40才くらいの調節力の低下があるということですからかなりのものです。

屈折度で言えば10才の子供は14ジオプターの調節力ですが、40才の調節力は4.5ジオプターですから、数字から見ても大変な数値であることがわかります。サイプレジン(屈折能検査点眼薬)で調節力を改善したように見えても全く不十分のようです。しかし、このような事すなわち近視にかなりの調節力の低下を伴うとは眼科の教科書にはほとんど見られません。

実践の臨床を通じてわかった事です。眼鏡をかけていると遠くも近くも見えているので裸眼の状態と同じように考えているようですが実際は大いに違うのです。つまり近視はただ近くが見やすくなっただけでなく調節力の低下も伴うことが多く、正常とは違うのですから、病気と言っていいのかもしれません。

近視が病気なら治さなければならない

第二次大戦中、かのヒトラーはドイツ国内の医師に近視は病気であるから治さなければならないと命令しました。命令を受けた医師たちは近視治療に力を入れ、かなり成果を出したと伝わっています。当時の戦争の主体は銃撃戦の比率が大きく裸眼での視力が重要視されました。

日本でも同様で徴兵検査で身体が健康でも視力の悪いものは乙種合格となりました。目の良いものは甲種合格です。現在も飛行機の操縦士や船乗りなど裸眼視力が重要視されますが時代の流れか、裸眼視力がいいものが少なくなったせいか基準が緩んできました。昔は旅客機の客室乗務員は裸眼で1.0以上が必要でしたが、今は裸眼で0.1以上、コンタクトレンズなどの矯正で1.0以上が条件のところがあります。

調節力の低下を早く見抜く

話がそれましたが要は調節力の低下を早く見つけてあげると言うことが近視を進めない重要な要素だと思います。それには一番は目の使い方と言うことになるでしょう。また、中にはミオピン、ミドリンM、低濃度アトロピンなどの毛様体筋をほぐすような点眼薬も有効でしょう。

ただしこの場合、薬に頼り、姿勢や目の使い方の改善を考えなければ意味がないでしょう。大学病院にいる時に市中の眼科に代診に行くことがありましたが2年も続けて点眼薬を使用している子供がいましたがどうかとおもいました。

調節力を自然に回復させるナイトコンタクト

この調節力の改善には裸眼での視力を回復させるナイトコンタクトが優れています。なぜなら近視になる前の本来の見え方に回帰させるからです。

それにより視力が改善している子供も多くいます。裸眼で遠くがよく見えると言う本来の見え方を回復させることにより調節力が自然と回復してくるのです。さらに視力回復トレーニングを併用すればナイトコンタクトの度数を下げることも可能ですし、ナイトコンタクトを使用しないでも良いくらいの目になることもあります。

1日中眼鏡をかけるのは間違った治療

子供が視力低下で眼科を受診したら、この視力では勉強も困るので眼鏡をかけなさい。一度眼鏡を使い出したらずっとかけ続けて、かけたり外したりすると良くないですよ、と言われたと言って来院される子供達がたくさんいます。それも目の使い方などの注意を何も受けたこともないのです。これではますます近視が強くなっていきます。

近視が進んだ理由

子供はだれもが近視になるのでしょうか。1945年頃まで小学生で裸眼視力が1.0もない子は5%位でした。高度成長政策により裕福になり進学するものも多くなり目の酷使もあり視力低下は急激に進行します。昭和55年には近視の児童は3倍以上に増加し、現代では6倍の30%を超えています。

小学生はまだ受験とかあまり意識してないのでガリ勉で目が悪くなったわけでもないでしょう。昭和55年当時は漫画が少しずつ浸透してきた時代でしたから、原因として考えられます。現代では漫画以外にもゲーム機やスマホが問題でしょう。

姿勢の悪さは近視に直結している

他の原因として考えられるのは姿勢の悪さと思われます。正座をすることが少なくなり椅子の生活が大半を占めることになりました。骨盤には坐骨がありますが本来の坐骨が役割をなさないような座り方をしているのです。当然姿勢が悪くなるとともに腰痛の患者も増加しています。歪んだ姿勢ゆえに机にへばりついて本を読んだり、ノートに文字を書いたりしていると目に過剰な負荷が加わり近視が進んできます。

近視が進まないと言われているナイトコンタクト(オルソケラトロジー)でも近視が進むことがあります。

ある時、診察を受けにきた子供の親御さんが言うには、近視が進まないようにナイトコンタクトをしたのにどんどん目が悪くなっているのはどうしてかと問い峿められました。よく見ると子供の手にはゲームボーイが握られていました。笑い崀では済まされません。ナイトコンタクトの子供にも正しい目の使い方の指導が必要だと思いました。

初期の近視は本を読むときは眼鏡はいりません

近視の人があまり理解してないのは自分がどれくらい強い近視であるかと言うことです。特に眼鏡しか利用してないかたは眼鏡屋さんで目に合うように作られた眼鏡に満足していればそれで事足りますから他の眼鏡をかけた人と同じだねくらいにしか思ってません。

あまり人の眼鏡と比べて近視が強いの弱いのという会崀は聞きません。使い捨てのコンタクトを使っているかたはコンタクトの箱に-2.0とか-3.5などと書いてありますから自分の近視の度数をある程度、認識しているかもしれません。

軽い近視の人の焦点距離は本を読む距離よりも遠くにあります。例えば近視度が-1ジオプターの場合は焦点距離が1メートルです。近視度が-2ジオプターなら50センチメートルです。-3ジオプターなら33センチメートルです。

-5ジオプターなら20センチメートルです。-3ジオプター以内の軽い近視ではかえって本をを読む時には、目が良くて遠くが見やすい人より近くが楽に見えます。

この状態で遠くがよく見えるようにした眼鏡をかけると近くを見る時にもっと負荷をかける事になります。それによりさらに近視が強くなってしまうことになりかねません。

一部の眼科の先生はなぜ眼鏡をずっとかけ続けなさいと言うのでしょうか

それは先生たちの大半が強度近視だと思われるからです。強度近視の場合、近くさえも見にくくなってしまっているので眼鏡をかけざるをえないのです。

もう一つ裸眼とのギャップが大きいがために常に眼鏡をかけていなければ生活がしにくいのです。そういう先生自身の感覚を近視になったばかりの子供にも同じように思い、眼鏡をかけ始めたら外したりしてはいけないと言うのでしょう。

最初から強度近視になるわけではありません。

最初の眼鏡が問題なのです。眼鏡は松葉杖と思ってください。あっ、目が悪くなったな、明日は試験でどこに座るからわからないから眼鏡を用意して見えなかったら使おう、ということでいいのです。

最近試験勉強で目を使いすぎたから、しばらく気をつけよう、でいいのです。早速、眼鏡をつけっぱなしにしたら、目は少なくともその度数を維持するだけでなく、さらに近くを見続けていればもっと近視が強くなってしまうでしょう。

眼科の先生も子供のことを思ってでしょうが、強い眼鏡の感覚と最近になった軽度の近視とでは見え方も違うのです。これは大人の職場でも言えることです。通勤時の眼鏡は遠くがよく見えた方が良いでしょうが、パソコンを朝から夕方まで扱うような仕事では度数を少し弱くして仕事用に眼鏡を作ったほうが良いでしょう。さらに夜に車に乗るときはやや強めに作ったほうがよく見えるでしょう。

視力は測る時間帯により違ってくることも考慮しましょう

学校で測ったときは悪かったのに眼科で測りなおしたら異常がなかったという事もよくあります。また、目を急によく使うようになった後に急に目が悪くなる事もあります。日頃から自宅にも視力表を常備して視力の変化をいち早く気づくようにしたいものです。

眼科を受診して眼鏡をずっとかけなくちゃいけないという先生に出くわしたら、はい、わかりましたと返事をして、早々に眼科を後にしたほうがよいでしょう。

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